鹿塩マイロナイトの岩石組織(その3)

鹿塩マイロナイトの泥質珪質岩に興味深い堆積組織が認められたので,ここに記載してみる. 

長野県伊那市長谷の中尾では,三峰川右岸に細粒緻密で珪質の岩石がかなり広く分布している.
この地域の鹿塩マイロナイトは鹿塩マイロナイトの中でも特に細粒な岩石が多く,
ウルトラマイロナイトと言われる岩石も少なくない.
しかし,剪断面やプレッシャ-シャドーの発達は良くない.
ポーフィロクラスト(斑状結晶)の破断もほとんど認められない.

次の画像は細粒緻密な泥質珪質岩の露頭である.

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次の画像はここから取り出した岩石の岩片をスキャナでコピーしたもの.厚さ約11mm.

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露頭では塊状の均質な淡緑色の岩石に見えるが,岩片を見ると薄い地層の集合体である.
白色味が強い地層やラミナでは泥質物質が少なく,泥質物質が多い場合は緑色が強くなる.
非常に薄い泥質岩層が何枚か認められる.この岩片にはポーフィロクラストがほとんど認められない.

切断面をルーペで見ると,径50~100マイクロメーターほどのリング状組織が無数に認められる.

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石英のリング状組織は放散虫化石の痕跡であり,その内部および周辺には微細な物質が存在する.
この微細物質に泥質物質が多い場合には緑色の色彩が強く,珪質物質が多い場合には白色味が強くなる.

図示された岩片の上部の層理面には,一定方向に走る帯状組織が認められる(次の画像).
すなわち,泥質物質が多い緑色部分と少ない白色部分が互層をなしている.スケールは約1cm.

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拡大してみると,互層の状況はかなり複雑な様相を呈している.

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この種の組織は,微小のリップルマークのようなものを想定すると理解しやすい.
リップルマークのように地層の境界が小さく波打っている場合,
それを切断した平面には,上下2枚の地層が交互に出現することになる.

そこで,層理面に直交する面をルーペやusbマイクロスコープで観察してみる.
次の画像はusbマイクロスコープで撮影したもの.

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最上部には白色の薄いシリカに富む地層がある.
その下に淡緑色の薄い地層がかなり緑色味の強い地層に重なっている.
注目点は,シリカに富む層とその下の淡緑色の層との境界が複雑に波打っていることである.
シリカ層付近をさらに拡大してみたのが次の画像.

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地層の複雑な積層状況は境界部を切断した平面にも反映される.
その結果が層理面にみられる帯状構造である.

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