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中部地方の中央構造線近傍にはマイロナイトが分布している. 伊那市長谷市野瀬付近では泥質および砂質のマイロナイトが次の図の黄色領域に点在している. 市野瀬集落の南方の地域では, 泥質・砂質マイロナイトの基質を構成する鉱物の粒度は,東方に行くほど次第に細粒になる. 西端部には片麻岩組織が残存したマイロナイトが存在し,東端部には非常に微細なマイロナイトが分布する. 次の写真は片麻岩組織を持つマイロナイトの様相で,粟沢集落西方の長谷−高遠林道で撮影したもの. 一方,粟沢集落や中沢峠の周辺では,かなり細粒の泥質マイロナイトがみられる. マイロナイト帯に大断層は存在せず, 細粒の泥質マイロナイトの原岩は片麻岩であると一般に信じられている. ところが,中沢峠の少し南の国道沿いの露頭から採集した岩石をルーペで見たところ, 放散虫化石らしき楕円形をしたリング状の微小物体がみつかった. そこで,岩石表面を研磨してルーペでみると,リング状組織が無数に認められた. その状況をスキャナでコピーしたのが次の図で,岩片の表面と裏面(片理面)がコピーされている. リング状および楕円形状組織は,形態と大きさから見て放散虫化石であると推定される. 岩石を採取した地点付近にはほぼ完全に再結晶した変成岩が分布しており, 化石であることを証明するのは難しいと考えられるが, もっと高倍率で見たり,薄片を作成したりしなければならない. そこで,つくばの研究所に出かけて,薄片作成の準備と高倍率の反射顕微鏡での観察を行った. 高倍率の顕微鏡によると,小さいリング状物質が多数確認できた. 翌日,我が家で薄片を2枚作製したところ, 問題の岩石はごく普通の白雲母−黒雲母片岩で,ポーフィロクラストは比較的少ないことが分かった. 白雲母,黒雲母,石英,長石などの微細な鉱物からなる片状組織の中に, 楕円形の「リング状の何か」がかすかではあるが多数認められた. 変成作用による再結晶が完全であるために,分かりにくい点があるが, 「リング状の何か」は化石の形態を反映したものであろう. 近いうちに顕微鏡写真を撮影の予定. 細粒のマイロナイトは馬越付近にも広く分布している. それらには堆積組織と推定される微細組織が認められ,原岩は低変成度の変成岩であろう. 堆積組織と推定される微細組織を以下に図示してみる. スケールは4mm,次の図のスケールも同じ. 次の写真では黒色の泥質層が「枝」を出している.これは堆積構造であろう. 小さなリング状組織も多数認められる. 次も小さいリング状組織が認められる馬越産の泥質マイロナイト. 次の写真は電子線マイクロアナライザによる反射電子線像である.試料は馬越産の泥質マイロナイト. 矢印の先にリング状のものが写っている.その左と下にもリング状のものが見られる. 右下付近にもリング状のものやそれらが重なったものがかなり見られる. これらは何?と不思議に思っていたが, そのうちに紹介する薄片中のリング状組織はこれと類似している. 次の写真の暗緑色の岩石は白雲母と普通角閃石を含む凝灰岩質な岩石で, 大鹿村の北川地域の鹿塩川に面した大露頭から採集したもの. スキャン画像の左端の方に写っている暗色層に注目すると,かすかな楕円形のリングが多数認められる. 100円ショップで約15倍のルーペを購入して,楕円形のリングを見てみると,放散虫化石が良く見える. 放散虫化石の外形は意外と良く保存されている. |
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