|
新聞報道によると,中央構造線が岩槻で行われたボーリング地点の南方約500m以内に想定されている. 岩槻は関東平野のほぼ中央部に位置しているが,ボーリング調査の際に掘り出された地下深部の基盤岩を調べたところ,中部地方などで中央構造線から約500m以内の範囲に見られる岩石(鹿塩マイロナイト)と類似の岩石であることが分かった. したがって,岩槻坑井の南方約500m以内に中央構造線があると判断された. しかしながら,関東地方の空中磁気図によると,高磁気異常帯が岩槻付近に認められ,そのため,地下に蛇紋岩のような磁鉄鉱を含有する岩石の存在が示唆されている.すなわち,岩槻付近は磁鉄鉱を含有する岩石がしばしば産出する三波川帯であって,領家帯(鹿塩マイロナイト帯を含む)ではない(地質学論集,第31号,1988,p.57-74). ボーリングのデータと地球物理学的データを矛盾無く説明するには, 基盤岩の浅部に領家帯の岩石があって,深部に三波川帯の岩石があると考えれば良い. 岩槻付近では三波川変成岩に領家帯の岩石が低角断層で重なっていると考えられる. 最近,岩槻坑井近傍で反射法地震探査が実施され,三波川変成岩と領家帯の岩石の境界と推定される反射面が 見出された.岩槻坑井の地下に三波川変成岩が存在することが想定された(横倉ほか,日本地球惑星科学連合2008年大会,S147-013).あと500mほど深くボーリングしていれば,三波川変成岩が取り出せたと思われる. ところで,近畿地方東部から中部地方の中央構造線では,多くの場所で断層面の傾斜は60〜 90°であるが, そのような高角度に傾いた大断層を関東地方(岩槻)に想定する必然性は存在しない. 関東地方の三波川帯近傍では低角断層が卓越しているからである. 関東山地北縁部では,低角断層が少なくとも3種類認められている. (1)中新世中期の牛伏山断層(2)古第三紀の領家ナップの下底断層(3)跡倉ナップの下底断層である. 岩槻の低角断層がどれに相当するか興味深い. なお,最初の図に描かれている関東山地北端部の中央構造線は三波川変成岩と中新統の間の断層である. しかし,中新統は海底に露出していた基盤岩を被覆する地層であって,内帯に特有の地質体ではない. 地体構造の論議では,先中新世(古第三紀以前)の基盤岩を対象にすべきである. 三波川変成岩が北方にどこまで続いているのか,これが重要である. 三波川変成岩の北限断層は2番目の図の点線あたりと推定され, 実際に物理探査によってアルファとベータ地点に断層が推定されている. 関東山地北方の丘陵や平野の地下にも基盤岩として三波川変成岩が存在すると推定される. ただし,これを示唆する地表データは現在のところ吉見丘陵の変成岩と古期堆積岩類だけである. 最後に,成田付近を通る南北方向の地質断面図は次のようである. |
| << 前記事(2008/11/17) | トップへ | 後記事(2008/12/01)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|
| << 前記事(2008/11/17) | トップへ | 後記事(2008/12/01)>> |